2017年05月25日 14時10分

Source: NEC Corporation

東北大・阪大・NECなど、地震発生から30分以内にスーパーコンピュータを用いて津波浸水被害を推計するシステムが内閣府に採用

東京, 2017年05月25日 - (JCN Newswire) - 国立大学法人 東北大学(注1、以下 東北大学)、国立大学法人 大阪大学(注2、以下 大阪大学)、日本電気株式会社(注3、以下 NEC)、国際航業株式会社(注4、以下 国際航業)、株式会社エイツー(注5、以下 エイツー)は「津波浸水・被害推計システム」(注6)を共同で開発し、本システムが、内閣府が運用する「総合防災情報システム」の一機能として採用されることになりました。

本システムは地震発生直後に津波シミュレーションを行い、被害推計を行うものです。南海トラフ域で発生する地震を想定し、地震発生直後に総距離6,000Kmにおよぶ太平洋沿岸地域における津波被害の推計を、地震発生から約30分以内で行います。30分以内の短時間で津波浸水被害推計を行うシステムは、世界初となります。
また、システムの耐障害性向上のため、東北大学(仙台)と大阪大学(大阪)の2拠点でNECのスーパーコンピュータ「SX-ACE」(注7)を使用した同一システムを構築・運用し、24時間365日の稼働を実現します。

これは、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST) - 「大規模・高分解能数値シミュレーションの連携とデータ同化による革新的地震・津波減災ビッグデータ解析基盤の創出」における基礎研究(注8)、総務省「G空間シティ構築事業」(注9)の一プロジェクトである「G空間情報(注10)と耐災害性ICTを活用した津波減災力強化―リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」にて開発されたシステムの有効性が確認され、本格導入されるものです。本システムの運用は2017年度後半を予定しています。
本システムにより、大規模地震発生時の津波による広域的な被害を迅速に推定することが可能となり、災害時における政府の迅速な対応に貢献します。

背景

津波災害発生時における対応は、人・建物の被害分布の把握や交通網を含むライフライン等の被害状況の早期把握(広域被害把握)が必要です。本事業は、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震津波災害の教訓から迅速な災害救援計画・体制の確立をめざした取り組みの一つに位置づけられます。
本システムは、東北大学 災害科学国際研究所(注11、以下 災害科学国際研究所) 越村俊一教授を責任者として、複数の大学・民間事業者が連携し、地震発生時の断層推定から津波による浸水・被害推計、情報提供までを迅速に行う世界最先端の防災システムを開発・構築・運用しているもので、日本の災害対応力強化に貢献しています。

システムの概要

地震発生時に東北大学 大学院理学研究科(注12)とエイツーから提供される断層推定データを使って、災害科学国際研究所と国際航業が高速計算用に改良した「津波浸水・被害推計シミュレーションプログラム」を実行します。これにより、津波による被害推計が可能となります。
これら断層推定から津波浸水被害推計までの処理を自動化し、処理時間を短縮するため、東北大学 サイバーサイエンスセンター(注13、以下 サイバーサイエンスセンター)と大阪大学 サイバーメディアセンター(注14、以下 サイバーメディアセンター)とNECがNEC製スーパーコンピュータ「SX-ACE」を活用したプログラムの高速化と並列化を行います。
産学の連携および理学・工学・情報科学の学際連携により、従来の手法では数日かかっていた被害推計を、地震発生から30分以内で実現します。今回のシステムでは南海トラフ地震を想定し、地震発生直後に総距離6,000Kmにもおよぶ範囲(静岡県から鹿児島県までの沿岸域)において30mの格子サイズで、津波被害(浸水建物棟数、等)の推計を可能にします。
また、仙台と大阪の2拠点で同一システムを構築・運用することにより、24時間365日、無停止での運用を実現します。

各分担・役割について

津波発生予測

- 東北大学 大学院理学研究科 日野亮太教授、太田雄策准教授
- エイツー
地震によって沖合で励起された津波の高さ分布(津波波源モデル)を、津波浸水・被害推計シミュレーションの初期条件として提供するために必要となる震源断層モデルの即時推定(地震発生後10分以内)を行います。震源断層モデルの即時推定には、気象庁が公表する震源情報に加え、国土交通省国土地理院と東北大学大学院理学研究科で共同開発を進めてきたリアルタイムGNSS(注15)観測データによる地殻変動検知技術等を活用します。

津波伝播・浸水予測モデル、被害推計モデル

- 東北大学 災害科学国際研究所 越村俊一教授
- 国際航業
越村教授は本事業の実施責任者であり、国際航業は越村教授とともに本事業全体の計画・事業推進を行います。
約6,000Kmにわたる静岡県から鹿児島県までの太平洋沿岸域に対し、高精度な津波被害推計を可能とするモデル開発を行います。また、より精緻な被害推計を行うため、地形モデルおよび被害推計システムの開発を行います。

モデル高速化・並列化、システム開発・実装

- 東北大学 サイバーサイエンスセンター 小林広明センター長特別補佐・教授
- 大阪大学 サイバーメディアセンター 下條真司センター長・教授
- NEC
NEC製「SX-ACE」を利用した「津波浸水・被害推計シミュレーションプログラム」の高速化と大規模並列化を共同で行います。通常時は全国共同利用計算機として運用しているスーパーコンピュータを、津波発生時には、津波シミュレーション専用運用に迅速に切り替え、シミュレーションを実行します。

今回の事業の推進を通じて、ICTを活用した大規模地震津波災害発生時における災害情報の効果的な把握を産学官で連携して行うことにより、災害に対するリスク対応力・危機管理力の向上に貢献して行きます。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://jpn.nec.com/press/201705/20170525_02.html

(注1)国立大学法人東北大学(所在地:宮城県仙台市、総長:里見 進)
(注2)国立大学法人大阪大学(所在地:大阪府吹田市、総長:西尾 章治郎)
(注3)日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆)
(注4)国際航業株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:土方 聡)
(注5)株式会社エイツー(所在地:東京都品川区、代表取締役社長:加地 宏行)
(注6)津波浸水・被害推計システム プレスリリース「東北大・NEC・国際航業、大規模地震発生時の津波浸水被害をリアルタイムに予測する実証事業を推進」
http://jpn.nec.com/press/201408/20140801_01.html
(注7)スーパーコンピュータ「SX-ACE」
http://jpn.nec.com/hpc/
マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、世界一のコア性能と世界一のコアメモリ帯域を実現した新しいベクトル型スーパーコンピュータ。一般に多数のプロセッサ利用を必要とするスカラ型並列コンピュータと比較して、少ないプロセッサ数でも、複雑な科学技術計算において高い性能が得られ、並列プログラミングの負担も軽減されるという特徴がある。
(注8)科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST) - 「大規模・高分解能数値シミュレーションの連携とデータ同化による革新的地震・津波減災ビッグデータ解析基盤の創出」(代表:越村俊一) https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/project/44/14531840.html
(注9)G空間シティ構築事業
www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/geo-spatial_ict/g-city/index.html
G空間情報のICTによる利活用を促進し、経済の成長力の底上げ及び国土の強靭化を図るため、「G空間×ICT推進会議」で提言された実証プロジェクトを実施するもの。「世界最先端のG空間防災モデルの確立」及び「先進的・先導的なG空間利活用モデルの確立」について公募を行い、全国10事業が採択された。
(注10)G空間情報
https://www.geospatial.jp/gp_front/
位置情報、または位置情報とそれに関連づけられた情報のこと。GPS(全地球測位システム)等による位置情報の測定、GIS(地理情報システム)によるG空間情報の管理・利活用など、G空間情報とICTを組み合わせて利活用することで、位置や地図に関する様々なサービス、システムが実現される。
(注11)東北大学 災害科学国際研究所(所長:今村 文彦)
http://irides.tohoku.ac.jp/
(注12)東北大学 大学院理学研究科(理学研究科長:寺田 眞浩)
http://www.sci.tohoku.ac.jp
(注13)東北大学 サイバーサイエンスセンター(センター長:曽根 秀昭)
http://www.cc.tohoku.ac.jp/
(注14)大阪大学 サイバーメディアセンター(センター長:下條 真司)
http://www.cmc.osaka-u.ac.jp
(注15)GNSS:Global Navigation Satellite Systems

概要:日本電気株式会社(NEC)

詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 第一官公ソリューション事業部
E-Mail: tsunami@hec.jp.nec.com

Source: NEC Corporation
セクター: メディア, IT

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