2019年08月01日 10時00分

Source: Hitachi

筑波大と日立、不整脈の発生部位を高い精度で特定

心磁図と心臓CT画像の合成技術を用いて
研究成果のポイント
1. 心磁図注1と心臓CT画像を正確に合成する技術により、心室からの不整脈の発生部位を身体への負担なく高い精度で特定できることを明らかにしました。
2. 合成画像を用いることによって、より緻密な不整脈治療計画を立案でき、不整脈治療に伴う患者負担の軽減への貢献が期待されます。

東京, 2019年08月01日 - (JCN Newswire) - 国立大学法人筑波大学 医学医療系 家田真樹教授、野上昭彦教授、吉田健太郎准教授と、株式会社日立製作所(本社:東京 執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、共同研究を通じ、日立が開発した心磁図と心臓CT画像の合成技術をもとに、心臓CT画像から別途作成した心臓の3次元モデルを活用することにより、心室からの不整脈の発生部位を身体への負担なく高い精度で特定できることを明らかにしました。

不整脈の治療法としては、太ももや手首からカテーテルを心臓まで入れて不整脈の発生部位を探し、その部位を焼灼する、高周波カテーテルアブレーション治療が普及しています。しかしながら、従来の心電図では、不整脈の発生部位を正確に特定することは難しく、治療の有効性や安全性に問題がありました。本研究グループは、心磁図と心臓CTの画像を合成して導いた情報を、心臓の3次元モデルに合成する新たな技術を用いて、不整脈の発生部位の特定を試みたところ、心電図に比べてその精度が飛躍的に向上することを見出しました。

本研究の成果は、2019年7月31日付「JACC: Clinical Electrophysiology」で公開される予定です。

研究の背景
不整脈とは脈が乱れたり、速くなったり、遅くなったりする疾患で、症状によっては、日常生活に支障をきたしたり、生命に危険を及ぼしたりすることがあります。現在、治療法として、太ももや手首からカテーテルを心臓まで入れて不整脈の発生部位を探し、その部位を焼灼する高周波カテーテルアブレーション治療が普及しています。これは、心室期外収縮による心筋症や心不全を予防するための治療法として、確立された選択肢となっています。しかしながら、その有効性や安全性は、不整脈が心臓のどこから発生しているかによって異なります。例えば、ヒス束注2の近傍や冠動脈の近傍から不整脈が発生している場合、ヒス束や冠動脈を焼灼すると重い副作用が生じるために治療が困難なことがあります。また、心臓の外側から不整脈が発生している場合、心臓の内側から焼灼することは難しく、アブレーション治療は適しません。そのため、不整脈の発生部位を治療前に患者への負担なく特定できれば、予め心室期外収縮へのアブレーション治療の適用可否を検討することができ、臨床上のメリットがあります。

心室期外収縮における不整脈の発生部位を、治療前に身体への負担なく特定する方法としては、従来から心電図が用いられています。しかし、空間分解能が低く、不整脈の発生部位と冠動脈との位置関係や、発生部位が心臓内外のどちら側にあるのかなど、正確な部位特定には問題がありました。また、そのことにより、十分な治療計画を立てにくいことも課題となっていました。

心電図以外に心臓の機能を検査できる装置として、磁場を計測することで心臓の電気活動を評価する心磁計があります。心磁計で得られる心磁図を心臓CT画像と合成する技術が2015年に日立で開発され、その後研究開発が進み、心臓の電気活動を優れた空間分解能で評価できる可能性が示唆されていました。そこで、本研究グループは、心磁図と心臓CT画像との合成画像が、心室期外収縮の不整脈の発生部位の特定に有効かどうかを検証しました。

研究内容と成果
本研究では、心室期外収縮(図1)に対してアブレーション治療を実施した患者18例を対象としました。まず、術前に日立が開発した画像合成技術を用いて、心磁データから作成した心臓に流れる電流の3次元分布画像(心磁図)と心臓CT画像を合成しました(図2)。図2の電流強度が最大の位置は不整脈のきっかけとなる電気が発生している場所であり、この場所を不整脈の発生部位としました。さらに、心臓CT画像から別途作成した心臓の3次元モデルと、図2で導いた不整脈の発生部位を合成することにより、不整脈が心臓内外のどこから発生しているかを視覚的にわかりやすく特定できる表示(画像)が得られました(図3および図4)。

このようにして得られた不整脈の発生部位の正しさを検証するため、心臓の3次元モデルとの合成画像から特定した不整脈の発生部位と、アブレーション治療により得られた不整脈の発生部位を比較したところ、18例中17例(94%)で一致しました。また、従来技術の心電図では把握が困難であった、不整脈の発生部位が心臓内外のどちら側にあるのかについても、合成画像により特定できることが示されました。さらに、心臓CT画像には冠動脈が描画されているため、合成画像から不整脈の発生部位と冠動脈との位置関係を確認することができました。一方、心電図により不整脈の発生部位を特定したところ、アブレーション治療との一致は18例中10例(56%)でした。

以上のことから、心磁図と心臓CT画像との合成画像を用いることで、心室期外収縮における不整脈の発生部位を、従来技術よりも高い精度で特定でき、冠動脈との位置関係や心臓内外のどちら側にあるのかを把握できることが明らかになりました。

今後の展開
アブレーション治療の前に、合成画像を用いて不整脈の発生部位を特定することによって、より緻密な治療計画が立案でき、患者負担の軽減に資することが期待されます。今後、心室期外収縮よりも罹患率が高く、アブレーション治療の主要対象疾患である心房細動の治療に、本手法を応用していくことを計画しています。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2019/08/0801.html

概要:日立製作所

詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。

Source: Hitachi
セクター: エレクトロニクス, ITエンタープライズ

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