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プレスリリース
2019年10月23日 10時00分
Source:
Eisai
バイオジェンとエーザイ、アデュカヌマブ 臨床第III相試験で得られた大規模データセットの新たな解析結果に基づき、アルツハイマー病を対象とした新薬承認申請を予定
東京, 2019年10月23日 - (JCN Newswire) - バイオジェン(Nasdaq: BIIB、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、本日、早期アルツハイマー病(AD)患者様を対象に臨床試験を実施したアデュカヌマブについて、バイオジェンが米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づいて、新薬承認をめざすことを発表しました。
臨床第III相試験であるEMERGE試験は、アデュカヌマブの高用量投与群がプラセボ群と比較して、統計学的に有意な臨床症状の悪化抑制を示し、主要評価項目を達成しました。また、もう一つの臨床第III相試験であるENGAGE試験は、アデュカヌマブの高用量投与を受けた被験者のサブグループにおいてEMERGE試験を支持する結果であったとバイオジェンは考えています。アデュカヌマブを投与された被験者では記憶、見当識、言語などの認知機能において顕著なベネフィットが見られました。また、金銭管理、家事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での外出などの日常生活動作においてもベネフィットが見られました。アデュカヌマブが承認された場合、本剤は早期アルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制する最初の治療剤となるとともに、アミロイドベータ(Aβ)の除去が臨床上のベネフィットをもたらすことを実証する世界初の薬剤となります。
今回のアデュカヌマブの承認申請の決定は、無益性(Futility)解析の結果により2019年3月に試験が中止された臨床第III相試験に関して、FDAとの相談のもと、大規模データセットを用いてバイオジェンが実施した新たな解析結果に基づきます。事前に計画された無益性解析の後に得られた追加データを含む、大規模データセットを用いた今回の新たな解析の結果、アデュカヌマブの用量依存的な脳内アミロイドの減少、および事前に規定した主要評価項目であるClinical Dementia Rating-Sum of Boxes (CDR-SB)における臨床症状悪化の抑制が示され、薬理学上および臨床上の両面で有効性を示しました。両試験におけるアデュカヌマブの安全性および忍容性は、これまでのアデュカヌマブの試験と整合性を示すものでした。
バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「本日の発表は、世界中の数千万人もの人々に影響を与える深刻な疾患であるアルツハイマー病との闘いにおいて大きな前進をもたらすものです。これは画期的な研究の結果であり、患者様のために科学を追求し正しいことを実践するバイオジェンの確固たる決意の証です。本剤を早期アルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制する最初の治療剤として患者様にお届けできるとともに、今回の結果がAβを標的とする同様のアプローチに対しても示唆を与えることを期待しています」と述べています。
FDAとの協議のもと、バイオジェンは2020年の早期にBLA(生物製剤ライセンス)申請を提出する予定であり、ヨーロッパ、日本をはじめとする他の国と地域においても、各地域の規制当局と協議を進め、製造販売承認申請を行う予定です。BLA申請には臨床第Ⅰ/Ⅰb相試験および臨床第III相試験のフルデータセットが含まれる予定です。
バイオジェンは、これまでにアデュカヌマブの臨床第III相試験、臨床第Ⅰb相(PRIME)試験の長期継続投与試験およびEVOLVE安全性試験に登録された患者様のうち適格な方に対してアデュカヌマブを提供することをめざしています。バイオジェンは、規制当局およびこれらの試験の治験責任医師とともに、この目的達成に向けて迅速に取り組んでまいります。
試験結果について
EMERGE試験(1,638人)およびENGAGE試験(1,647人)は、アデュカヌマブの2つの投与量群について有効性と安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験です。両試験は、事前に計画したより早期で小さなデータセットでの無益性解析結果に基づき、2019年3月21日に中止されました。無益性解析は、2018年12月26日時点において、18カ月間の試験期間が完了した1,748人の被験者のデータセットを基にしており、その結果、両試験は、試験完了時の主要評価項目達成の可能性が低いと予測されました。無益性解析は、大規模な臨床試験では一般的に行われるものであり、統計モデルを使用して、事前に規定したいくつかの仮説と評価基準に基づいて試験結果の予測を試みるものです。
EMERGE試験とENGAGE試験の中止後に、新たに利用可能となったデータを追加し、18カ月間の試験期間を完了した2,066人を含む、合計3,285人の被験者のデータを解析いたしました。大規模データセットによる詳細な解析では、無益性解析で予測されたものとは異なる結果が得られ、特にEMERGE試験は、事前に計画した主要評価項目において統計学的に有意な結果を示しました(P = 0.01)。ENGAGE試験については、主要評価項目を達成しませんでしたが、サブグループにおいてはEMERGE試験を支持する結果であったとバイオジェンは考えています。バイオジェンは、これらの異なる結果について、外部アドバイザーやFDAと協議を重ねました。
「今回の結果は、凝集したAβの除去がアルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制し、医学関係者をはじめ患者様とその家族に新たな希望を与えることを臨床第III相試験で実証した初めてのものになります。アルツハイマー病には高いアンメット・メディカル・ニーズがあり、そのコミュニティは、この瞬間を待っていました。バイオジェン、FDA、医学関係者、患者様および本治験関係者のすべてが、本結果を実現するために尽力されてきたことを称賛します」と、Rochester大学のWilliam B. and Sheila Konar Professor of Psychiatry, Neurology and Neuroscienceで、AD-CARE(Alzheimer's Disease Care, Research and Education Program)部長、ならびに治験責任医師でもあるDr. Anton Porsteinssonは述べています。
EMERGE試験は、新しい解析において、アデュカヌマブの高用量投与群は、CDR-SBにおいて、78週でのベースラインからの臨床症状悪化について、プラセボ投与群に比較して統計学的に有意な抑制を示し(23%抑制、P = 0.01)、本試験の主要評価項目を達成しました。EMERGE試験のアデュカヌマブの高用量投与群では、事前に規定された副次評価項目で測定される臨床症状悪化についても、プラセボ投与群に比較して、それぞれ一貫した抑制傾向を示しました(Mini-Mental State Examination (MMSE;15%抑制、P = 0.06)、AD Assessment Scale-Cognitive Subscale 13 Items (ADAS-Cog13; 27%抑制、P = 0.01)およびAD Cooperative Study-Activities of Daily Living Inventory Mild Cognitive Impairment Version(ADCS-ADL-MCI ; 40%抑制、P = 0.001))。また、アミロイドプラーク沈着のイメージングにより、アデュカヌマブ低用量群および高用量群の両群において、投与26週および投与78週でプラセボ投与群と比較して、アミロイドプラーク沈着の減少が確認されました(P < 0.001)。脳脊髄液中のタウレベルに関する追加バイオマーカーも、その臨床所見を裏付ける結果でした。ENGAGE試験においては、アデュカヌマブの高用量投与群のデータは、EMERGE試験の結果を裏付けるものであったとバイオジェンは考えています。
両試験において報告された、最も一般的な有害事象は、アミロイド関連画像異常(ARIA-E(浮腫))と頭痛でした。ARIA-Eが発症した被験者群のほとんどは、無症候性であり、ARIA-Eは4週から16週間以内にほとんど解消し、長期間におよぶ臨床的後遺症もありませんでした。バイオジェンは、2019年12月に開催されるアルツハイマー病臨床試験会議(CTAD2019)で、EMERGE試験およびENGAGE試験の本解析に関するより詳細な結果を発表する予定です。
本解析結果と無益性解析によって予測された結果との違いに関して、バイオジェンは、FDAとのデータ精査の協議をふまえ、本解析においては主にアデュカヌマブの高用量の投与が拡大したことによるものと判断しています。すなわち、解析対象被験者数の増加や高用量の平均投与期間が長くなったこと、より多くの被験者に高用量投与を可能とするプロトコル改訂がなされたこと、また無益性解析の時期や事前に計画されていたその判断基準などの複数の要因が関わったものと考えています。
バイオジェンのカンファレンスコールおよびウェブキャストについて
バイオジェンは2019年10月22日8時(米国東部時間)において、2019年第3四半期カンファレンスコールを開催し、その中でアデュカヌマブの臨床第III相試験の本解析結果についても説明する予定です。本カンファレンスコールは、バイオジェンのウェブサイト(www.biogen.com)のInvestorsセクションからアクセスできます。カンファレンスコール終了後には、アーカイブバージョンがウェブサイトで利用可能になります。スライドプレゼンテーション形式の補足情報も、ウェブサイトからアクセス可能です。1か月間掲載予定です。
アデュカヌマブについて
アデュカヌマブ(開発コード:BIIB037)は早期アルツハイマー病の治療薬候補として臨床試験中の化合物です。アデュカヌマブは、共同開発ライセンス契約に基づきNeurimmune社から導入されました。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。
EMERGE試験、ENGAGE試験は、アデュカヌマブの有効性と安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、臨床第III相試験です。試験の主要評価項目は、CDR-SBのスコアの変化によって測定される認知機能および機能障害の低下抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することでした。副次評価項目は、MMSE、ADAS-Cog 13およびADCS-ADL-MCIによって測定される臨床症状悪化の抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することでした。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者に提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、運動障害、神経筋障害、急性神経疾患、神経認知障害、疼痛、眼疾患といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。
当社に関する情報については、
http://www.biogen.com
およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、医療従事者や介護関係者、行政などの協力を得て認知症と共生する「まちづくり」に取り組み、世界で推計1万回以上の疾患啓発イベントを開催してきました。認知症領域のパイオニアとして、次世代治療剤の開発にとどまらず、診断方法の開発やソリューションの提供にも取り組んでいます。エーザイ株式会社の詳細情報は、
https://www.eisai.co.jp
をご覧ください。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2019/news201979.html
Source: Eisai
セクター: バイオテック
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